![]() ![]()
◇俳句集団セミの会編
◇価格 :1,200円(送料別)
◇収録句数:216句
◇判型・ページ数:文庫本サイズ、128ページ(俳句/112ページ)
★洒落たデザインのハードカバー!
★ポケットにいつも忍ばせておけるコンパクトさ!
◇お問い合わせ・ご注文先 :一二三制作室(Fax 03−3965−2685)
〈主な掲載句〉
「春 」
芹の根やむかしは水を疑はず
肝臓を下側にして寝釈迦かな
「夏」
ぽろぽろと人こぼしゆく御柱
新宿の女も老いぬ桜桃忌
「秋」
寺山修司を待つ秋灯の上野駅
含羞のひと多き街いわし焼く
「冬」
ラグビーの敗けたる側を見てゐたる
煮凝りをありがたがりて家長たり
「新年」
オホーツク人氷の独楽を回せしや
ーーーーー句集の反響など!ーーーーー
☆2007年6月号「俳句朝日」朝日新聞社刊にて句集が紹介されました。
『木下ひでを第一句集』記載句の8割が、会のメンバーの選んだ句で、選者の印が入ってい
る。作者は出版の世界に長かった人。「後書きの前文」の書き出しが、「なまけものは、あれは
あれで一生懸命なのです」から始まっていて、楽しい。〈春灯の届かぬ先の動くもの〉〈煮凝りを
ありがたがりて家長たり〉 『編集長「蔵」の句集いただきました』欄より
--------------------------------------------
☆2007年3月11日朝日新聞朝刊の俳句欄に紹介されました。
俳句集団セミの会編『木下ひでを第一句集』 掲載句の8割は集団の仲間が選んで、印が付い
ている。句会の心地よい緊張感を想像。無印句は作者、こだわりも見えて面白い。「水仙やこ
けら新たに冷泉家」 『風信』欄より
-------------------------------------------
☆白桃主催 伊藤通明氏からのお便りから
(略)
御著「木下ひでを第一句集」を頂いてから少し時間がたちました。私の机の真中にいまも置
き、ときどき手のひらにのせて眺め入っています。造本の美しさ、内容の楽しさ、同人の選まで
入っているなんてびっくりしました。そして何より作品がいい。どれもこれもやさしくあたたかく、
しんじつです。
土下座してみればあるある土筆かな
蜃気楼沙漠の果ての仏たち
初燕さびしき雨となりにけり
春の鹿重たく柵を越えにけり
すさまじき靴を残して卒業す
整列や一年坊主がひとつまみ
春惜しみ九段坂まで来たりけり
夏の夜の門司港駅に水を飲む
遠き日の有田紀子や初夏の川
夏座敷ひとりすわれば山があり
白雨きて多少の坂のありにけり
白鯨を読む少年よ夏の雲
水打つてしばらく天を仰ぎけり
わが街は低くありけり鰯雲
雨ありて川より秋の来りけり
ラグビーの負けたる側をみてゐたる
煮凝りをありがたがりて家長たり
やきとりや有楽町に新聞社
老嬢のひとり生牡蠣啜りをり
笹鳴りのいつか瀬音となりにけり
風邪ひけばこの世のことはみな遠し
水仙や?新たに冷泉家
いささかの酒の入りたる初薬師
この年はどこを漂ふ初鯨
特に好きな句です。
また、後書きの前文に、ひっくり返りました。素晴らしい。この句集が素晴らしいのは一言で
言えば上品。これにつきます。
(略) 伊藤 通明
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆俳句誌『鴨』 伊藤白潮主宰 「今月のこの二冊」欄の2007年
11月号に掲載
句集『木下ひでを第一句集』俳句集団セミの会編 勝見 玲子
本書は春・夏・秋・冬・新年と作品を五季に分類し、掲載の八割近くは「セミの
会」のメンバーが選んだという二百十句を以って一書としている。
さて、<後書きという前文>と少し変ったタイトルに依れば、セミの会とは屈託
のない小数軍団ながら、何らかの形で文芸活動に係わる精鋭諸氏のようだ。笑
いあり、涙ありの句会のひとときは、密度の濃い詩的精神の場ではなかろう
か。微笑ましい句座のありようを思いつつペンを走らせている。
黒髪の整へてあり流し雛
春愁のただそれのみの日なりけり
ラグビーの敗けたる側を見てゐたる
作者の温かな目・深い観察力・生き生きとした表情の人間像が読み取れ、具
体的な事物を通して作者のラグビー好きと優しさを知ることが出来た。
深川に半日遊ぶ梅若忌
リビア
酒のなき国を旅して暮れかかる
春泥の足をのばして長命寺
江戸長命寺は桜餅で有名でありこの句は、角川春樹の『合本現代俳句歳時
記』に掲載されている。梅若忌・酒なき国・長命寺と具体的に対象の本質を把
握しており、違和感がない。次の句群は気張らず、ゆったりとした気息、さり気
ない日常性、嫌味のない詩情を謳歌している。
吊るし柿村の大気の動かざる
木枯らしやいましばらくの酒と薔薇
ワグナーの遠く聞ゆる冬館
どっしりとした柿簾、村の大気の動かざるの措辞、うまいと思う。若々しく臨場
感の溢れた酒と薔薇、洒落た句。ワグナーの聞ゆる冬館、歌劇か楽激か、この
「遠く」という距離感、つくづく佳句と思う。
少数ながら忌憚のない意見を言い合える俳句の集い、マンネリにならず切磋
琢磨を続けてほしいと願っている。
作者 木下ひでを氏は一九三九年、新京(現、中国長春)市に生まれた。元
『俳句朝日』の編集顧問。俳句集団「セミの会」の代表
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆俳句誌『帆』「句集鑑賞」コーナー 2007年10月号掲載
俳句集団セミの会編[木下ひでを第一句集] 石井 洽子
木下ひでを氏が代表を務める俳句集団「セミの会」、そのメンバー17名の選の
印を入れ、もちろんご自身の思い入れのある句とともに、春秋夏冬新年の順に
句を収めた魅力的な本である。
編集、そして装丁からイラストに至るまで、よき仲間が心から楽しんで係わっ
ているのは木下氏の人徳に他ならない。
新宿の女も老いぬ負う桜桃忌
有の実に喉をうるほすかがいかな
木枯らしやいましばらくの酒と薔薇 句の中には、
煮山椒、干鰈、鮎、どぜう鍋、鱧、白子鍋などなど食通の極み。お酒に合うも
のばかりである。
角川春樹氏、伊藤白潮氏などの出会いを重ねられる著者の、食べ、飲み、会
話し時に旅して、そこから生まれる自由で濃密なひとりの時間。
著者は「この句集中に、一句でも楽しい句を見つけてくれる人がおられるとし
たら望外の幸せ」と。
檣灯のわづかに揺れて星月夜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆「風の道」大高 霧海 主宰 2007年5月号掲載
【木下ひでを第一句集】
著者は角川春樹氏指導の句会に、五十一歳の時から参加する。ほかにも、
伊藤白潮氏主宰の「鴫」の句会をはじめ、さまざまな句会に参加する。元総合
俳句誌「俳句朝日」の編集顧問という立場から、数多くの俳句作品や、句会に
接している。冷泉家時雨亭文庫参与、俳句協会会員、連句協会会員、俳句集
団「セミの会」の代表をつとめている。
本書「木下ひでを第一句集」は、著者が自選した作品に、「セミの会」のメンバ
ーが選をする。著者は「俳句は"座の文芸"と信じてやっている句会の、やや緊
張感ある楽しさの名残りともいうべきものを、多少なりともとどめておこうと」。そ
こで、メンバーが選んだ句には、選をした人たちの名が印としてしるされてい
る。
蝶刺しし針も一本納めけり
欠けたるを厭はず買ひぬ東寺春
鮎料理待つ間の水の匂ひかな
朝涼をさらひて行きぬ救急車
本所あたり歩いてみたり終戦日
檣灯のわづかに揺れて星月夜
鎖されしニコライ堂や冬の鳩
冬の日や孤愁の町の甃
始りは長しと思ふ初暦
発行所 俳句集団「セミの会」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆「たかんな」藤木倶子主宰 2007年7月号鈴木興治氏の評
木下ひでを第一句集
一風変った句集である。文庫本サイズ。
著者が代表されている「セミの会」のメンバーが、八割がた選句していて、そ
の名前も入っている。ビジュアル、イラスト、レイアウトもその道の専門家が担
当。処々に入っているセミのイラストが雰囲気をつくっている。「この中に一句で
も楽しい句を見つけてくれる方が居たら望外の幸せ」と語られているが、どうし
てどうして、印象に残る句は少なくない。何より同世代として共感できる句を見
つけて楽しかった。
芹の根やむかしは水を疑はず
沈下橋わたる人なき日永かな
矢切の渡し
遠き日の有田紀子や初夏の川
蜩の聞こえてよりの眠りかな
みな違う音聞いている秋の夜
寒月の真下に灯す屋台かな
風邪ひけばこの世のことはみな遠し
さらに楽しい第二句集を期待しています。
![]() |