秋の句

     とんがらしあんたなんかに妬くもんか

   ちりちりと胸のやけどやとんがらし

   あさがおやきのふの夜のげたの音
 
    燃ゆる日のありしや鬼灯求めけり
 
ひぐらしや文机遠くおしやりて

秋立つや電話届かぬ旅の人

 秋の浜つまさき立ちの君とゐる

  秋日落つバスストップで君を待つ

   菊なます言葉のとげを溶かしけり 

  とげのある言の葉捨てむ秋の空

  萩の花こぼして人の過ぎにけり

ふたつみつ萩の花おく箒跡

   秋の日のゆがみて畳に届きをり

  鰯雲小さな下駄が駄菓子屋へ

 秋彼岸浅草までの舟にのり

  白萩のこぼれて土の乾きかな

 流燈のゆきつく先を思ひをり

  かな文字の長き便りや十三夜

   部屋のなか音なく染める十三夜

     十三夜シャンパングラスの細きこと

  十三夜香水瓶は空になり

  諍ひのあと落花生茹でにけり

秋の蝶鉄条網を越えにけり

   行く秋や珈琲茶碗にみるくの輪

豆腐屋の八寸の上衣被 





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